公共工事と
住宅塗装工事の違い
標準仕様書では工事品質を確保するために様々な工事に携わる人の役割と手続きが定められています。
住宅塗装工事でも標準仕様書と同じことができれば問題は簡単に解決するのですが、現実の住宅塗装工事では標準仕様書が想定しているだけの人が関わって工事をすることはできません。
a. 工事発注者に
専門の技術者がいる
標準仕様書では工事を発注する側に専門の技術者がいる想定となっています。規模の大きな公共工事では当然のことですが、一般の消費者が工事発注者である住宅塗装工事では工事発注者に専門的な知識や技術はありません。
b. 専門の施工管理技術者が
現場に常駐している
標準仕様書では施工管理技術者が現場に常駐して、工事の品質を管理することが想定されています。住宅塗装工事で専任の施工管理技術者を配置するとコストが大幅に高くなり現実的ではなく、資格を持った施工管理技術者は公共工事や大規模な工事の現場でも不足しており、小規模の住宅塗装工事では施工管理技術者は常駐しません。
(a)、(b)は公共工事と住宅塗装工事での代表的な違いです。公共工事では工事発注者に専門技術者がいることで工事の品質が確保されていますが、住宅塗装工事では発注者(消費者)に専門知識がなくても、十分な工事品質が確保できる方法が必要です。
また、工事受注者の立場では、公共工事のように専任の施工管理者を配置するなどすれば、住宅塗装工事でも品質管理の水準は向上します。しかし、工事価格を上げて消費者がそのコストを負担することは現実的ではありません。工事価格をそのままにして、工事受注者がそのコストを負担することもできません。
塗装工事基準委員会では現在の塗装工事のコストを増加させずに、塗装工事の品質管理を向上させることを目標として取り組みました。現実の住宅塗装工事の現場では、工事の手順や基準が実際に作業をする工事担当者(職人)に十分伝えられていないことがあり、それが不良を生み出す原因となっています。
PQA塗装工事基準は施工管理者が常駐していなくても、情報の共有と施工の確認がうまく行えるよう工夫がされています。PQA塗装工事基準を活用することで、コストを下げながら、工事品質を高めることができるのです。