トラブルの原因のほとんどが「工事発注者が考えていた工事が納品（実施）されなかった。」です。

工事内容は契約書、見積書、現場調査報告書などの契約までに提示された書面によって決まります。したがって、これらの書面に書かれていないことは、原則として工事の対象とはなりません。工事発注者が「言ったとおりの工事になっていないのでやり直して欲しい」と工事が終わってから主張して、トラブルとなることがあります。工事が完了してから工事をやり直すことは、工事受注者にとって大きな負担となります。内容によっては容易に工事受注者が対応できなこともあります。見積書などで示したとおりの工事が行われていなかった場合は、当然に工事受注者が責任を負いますが、見積書などに記載されていない内容については必ずしも工事受注者の責任とは言えません。

トラブルとなった多くの場合、口頭での合意（約束）はあるものの、書面などに記録されておらず、双方が異なる理解をすることが原因となっています。工事発注者は書面による具体的な約束がなければ工事の不備を主張できないと理解し、必要なことは書面に記載してもらうよう、工事受注者にお願いすることが大切です。